日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「コロナとインフル同時流行に備えた方針への疑問」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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今年もインフルエンザワクチンの予防接種が始まっています。「インフルエンザワクチン、毎年接種しています」という方もいらっしゃれば、「久しぶりに接種しようと思いました」とおっしゃる方もいます。
「先生はもうインフルエンザワクチンを接種しましたか?」「4回目のコロナワクチンは、もう接種していますか?」と聞かれることも増えてきたのですが、私はまだインフルエンザワクチンも、4回目のコロナワクチンも接種していません。流行の直前にワクチンを接種し、流行に備えることを考えると、11月中旬から下旬でも遅くはないと私は考えているからです。
日本では、まだインフルエンザが流行し始めたというニュースは聞こえてきてはいませんが、すでに同じ日本と北半球の米国では、インフルエンザの症例が増加していることが報告されています。
米国の疾病管理予防センター(CDC)によると、9月11日から17日の週には499例のインフルエンザAと34例のインフルエンザBが、9月18日から24日の週には757例のインフルエンザAと59例のインフルエンザBが、9月25日から10月1日の週には969例のインフルエンザAと52例のインフルエンザBが報告されており、9月25日から10月1日の週におけるインフルエンザの陽性率は2.5%であったといいます。
また、特に4歳以下の子どもで、発熱や咳などインフルエンザ様の症状を認めて受診する外来患者が増加傾向にあることから、CDCは過去2年間にインフルエンザがほとんど報告されなかった米国において、「今年の冬は厳しいインフルエンザシーズンになる可能性がある」と警告しているのです。