10月11日、入国者数の上限の撤廃、個人の外国人旅行客の入国解禁など、厳しかった水際対策が大幅に緩和されました。3回の新型コロナワクチン接種を終えたことを示す証明書か、滞在先の出発前72時間以内に受けた検査の陰性証明の提示を求める措置は今後も継続されるものの、遅ればせながら、日本も鎖国状態ではなくなったと言えそうです。

 このような新型コロナウイルス感染症に関連した規制の緩和や解除、南半球のオーストラリアにおけるインフルエンザの流行、近年のインフルエンザの流行がないことによる免疫力の低下から、今年の冬の新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行が生じるのではないかと、英国の国民保健サービス(NHS)やCDCは警告しています。今年の冬のインフルエンザの流行において、免疫の低い高齢者や乳幼児が最も危険にさらされている可能性があると、懸念されているのです。

 私の勤務先のクリニックでは、今年の冬に生じるであろうコロナとインフルの同時流行を想定し、一度でこれらの疾患かどうか判断することができる抗原検査キットを採用しています。第7波が終息した今でも、年齢を問わず、発熱や咳、咽頭痛など、コロナを疑う症状を主訴に受診する方は、人数は減ったものの絶えることはありません。

 10月12日、政府は、コロナとインフルの同時流行を懸念し、高齢者や小学生以下の子ども、基礎疾患のある方などに限定して発熱外来への受診を呼びかける方針を固めたことが報じられました。「はたして、発熱外来の受診者の年齢を限定する必要があるのか」と私は疑問に感じざるを得ません。

 政府は、基礎疾患がなければ検査キットで自主検査をして新型コロナウイルス感染症かどうかを確認し、コロナが陰性でインフルエンザやほかの病気を疑って医師の診療を希望する場合は、発熱外来ではない一般医療機関をオンラインや電話で受診するように呼びかけ、一般医療機関には対面診療も含め、コロナ陰性の患者をできるだけ診るように協力を求める方針だといいます。しかしながら、発熱を認めるからといって、インフルエンザかコロナのどちらかであるとは限りません。

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発熱が理由でクリニックを受診させてもらえず、実は…