コロナのためお葬式はできず、数日後、火葬した父のお骨を僕のマンションで受け取りました。
部屋に祭壇を作り、父の写真を飾ると、トラがすうっと近づいて、座布団に座りました。じいちゃんと、何を話していたんだろう?
■またトラと会えるように決めたお墓
10月はじめ、母が眠る墓に父のお骨を納めました。
そのお墓はガーデン型というものですが、じつは“猫も入れる”ペット可のお墓です。
まだ両親が元気な時に「これだ」と思って選んで一緒に見に行きました。僕は末っ子で、30過ぎまですねをかじらせてもらったので、最後のプレゼントのつもりで贈ったのです。
だから、いつかトラの寿命が来たら、また両親と一緒になる。この先にまた楽しみはある。そう思えば、さみしくありません。
高齢になってペットを飼うのは、確かに大変なこともあります。たとえばうちの場合は、動物病院には必ず僕が連れて行ったし、何かあっても対応できるように実家の近くに住みました。そんなふうにフォローができれば、年をとっても飼えるのではないかと思うんです。
初めは僕が押し付けちゃった感じだけど、トラが来てから実家が明るくなったし、両親に可愛がられたトラも幸せそうでした。
トラは、今のところは病気知らず。よく食べ元気で、同居のモンジを弟分にしたくてさらに接近中。妻にも甘え、よく抱っこされています。
いいんだよトラ。じいちゃんにしていたように僕らにうんとくっついて。楽しくみんなでやっていこうよ。
トラ15歳。第二の猫生は、はじまったばかりです。
(水野マルコ)
【猫と飼い主さん募集】
「猫をたずねて三千里」は猫好きの読者とともに作り上げる連載です。編集部と一緒にあなたの飼い猫のストーリーを紡ぎませんか? 2匹の猫のお母さんでもある、ペット取材歴25年の水野マルコ記者が飼い主さんから話を聞いて、飼い主さんの目で、猫との出会いから今までの物語をつづります。虹の橋を渡った子のお話も大歓迎です。ぜひ、あなたと猫の物語を教えてください。記事中、飼い主さんの名前は仮名でもOKす。飼い猫の簡単な紹介、お住まいの地域(都道府県)とともにこちらに連絡ください。nekosanzenri@asahi.com