といっても、強制に近い形で、職に当てはめるのは自然ではない。女性の賃金を上げることに必死になるべきだ。
それは全体の賃金、それも最低賃金を上げるということで、かなり効果が出るはずだ。非正規雇用や、低賃金労働を強いられている女性の数は多いのだから。
なにより、最低賃金を上げる、ということに異を唱える人は少ないに違いない。
賃上げをすれば、全国の中小企業が潰れてしまうという人もいるが、ならそこに予算を投入すればいい。具体的にいえば税金の控除などだ。
今こそ、助け合いで乗り切れないものなのか。私はこれ以上の、左右の無駄な分断を望まない。
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
※週刊朝日 2023年3月10日号