作家の室井佑月さんは、最低賃金を上げることで男女格差など多くの問題が解決に近づくと訴える。
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私は今、私たちが声を上げるべきは「賃金を上げろ」ということに尽きると思う。最低賃金を上げる、ということで団結すれば、全体の給与も上がる。生活保護費も。貧困率が高い女性たちも救われる。それは将来、子を産む不安を抱える者たちにとっても、朗報となるだろう。
たとえば、岸田政権が防衛費2倍をぶち上げたが、その使途は未(いま)だはっきりしない。米国から武器を大人買いするのか、自国で武器を開発するのか、自衛隊員の待遇改善や増加に使うのか。
2倍というはじめから金額ありきの話には賛同しないが、自衛隊の待遇改善や増加にもう少し予算を割きたいというなら、納得しないでもない。
日本は地震の活動期に入り、いつ巨大地震が起きてもおかしくない。それでなくても災害の多い国だ。
そして、トイレットペーパーも制限されるほど、自衛隊員は劣悪な環境に置かれている。そんな現状を知れば、そこに少々予算を割くことに文句がある人は少ないと思う。自衛官(予備を含め)を増やせば、安定した雇用も増える。
話は変わって、多額の予算が割かれる男女共同参画について。私もジェンダー差別を憎む者だが、私はこれに実際関わっている人──政治家や活動家が、俯瞰(ふかん)でものを見れなくなっているように感じる。
世界経済フォーラムの、男女格差を示す『ジェンダーギャップ指数』が、日本は世界146カ国中116位。これが問題であるといわれ久しい。
ジェンダーギャップ指数は『健康と生存率』『教育』『経済活動への参加と機会』『政治への参加』から成っていて、日本が低いのは『政治』と『経済』の分野だ。『経済』では男女間の賃金格差が大きく、『政治』は女性の政治家が少ないといわれている。
では、この国のジェンダー順位を上げるにはどうしたらいいかといえば、手っ取り早くこの二つに注目すべきだろう。