ヤクルトの長岡秀樹(左)とオリックスの宮城大弥(右)(写真提供・東京ヤクルトスワローズ/オリックス・バファローズ)
ヤクルトの長岡秀樹(左)とオリックスの宮城大弥(右)(写真提供・東京ヤクルトスワローズ/オリックス・バファローズ)
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 日本球界最高峰の決戦、日本シリーズが10月22日に開幕した。セ・リーグはヤクルト、パ・リーグはオリックスが、それぞれリーグ連覇からCSも勝ち抜き、2年連続で同じ顔合わせになった。6試合中5試合が1点差ゲームの激戦続きで“史上最高の日本シリーズ”とも称された昨年の記憶も色濃く残るなか、第1戦、第2戦が行われた。

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 本日開催される第3戦以降も見どころが多いが、この2チームを戦力ではなく年俸という観点で比べると何が浮かび上がってくるのか。互いに低迷から常勝へと移行しつつあるチームだけに、見えてくるものも多い。

 労組日本プロ野球選手会が発表した昨年の12球団の年俸総額ランキング(外国人選手、育成契約を除く)を振り返ると、最下位のチームがオリックスだった。その額16億1028万円は、トップのソフトバンクの41億5948万円の半分をはるかに下回った。「がんばろうKOBE」の合言葉の下でイチローらが躍動したリーグ連覇(1995、96年)を最後に優勝から遠ざかり、2000年以降はAクラス2回(2008年2位、14年2位)と低迷。直近は6年連続Bクラス、2年連続最下位という中で、選手の年俸アップにつながる要素は少なかった。

 一方のヤクルトも12球団中7位の総額21億7912万円。こちらも野村克也監督が率いた1990年代が黄金期であり、2000年以降は優勝2回(2001、15年)にとどまり、オリックス同様、直近2年連続最下位からの戴冠だった。その中で山田哲人は2021年シーズンから「年俸5億円プラス出来高払い」での長期7年契約を結んだ。仮に、昨年のチーム年俸総額から「山田の年俸」を差し引くと、16億7912万円で12球団中11位。昨年の日本シリーズは、年俸面から見ると「格安対決」であり、言い方を変えれば「コスパ対決」でもあった。

 そこから昨オフの契約更改を経て、優勝に貢献した多くの選手たちの年俸はアップした。日本一となったヤクルトは、総額で前年比11.5%アップの24億2970万円(12球団中5位)。そしてオリックスは、総額で前年比43.7%という大幅増で23億1410万円(12球団中6位)となった。だが、それでもソフトバンクの42億120万円、楽天の39億2272万円、巨人の36億4770万円、西武の25億1130万円を下回る。

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ヤクルトは“高給取り”が苦しむも…