一方、オリックスの年俸トップは、吉田正尚(4億円)だ。今季は5月に2度の離脱がありながら7月以降は右肩上がりに調子を上げて、終わってみればさすがの成績(119試合、打率.335、21本塁打、88打点)を残した。そして2位の山本由伸(3億7000万円)は、今季も圧巻のピッチングを続け、15勝、防御率1.68、205奪三振、勝率.750で投手4冠を獲得。ベテランの平野佳寿(2億円)も48試合で28セーブ&防御率1.57の安定感で、今季年俸は高くは感じない。
その半面、T-岡田(9500万円)が36試合で打率.149、1本塁打、10打点、増井浩俊(7000万円)が登板2試合のみと不振に。安達了一(7000万円)、杉本裕太郎(7000万円)の実績組も年俸に見合う成績は残せず。助っ人組では、ビドル(7500万円)とワゲスパック(7000万円)は及第点も、バレラ(1億円)、マッカーシー(9000万円)、ラベロ(6000万円)は期待外れに終わった。
それでも連覇が可能だったのは、投手陣では宮城大弥(5000万円)、田嶋大樹(8000万円)、山岡泰輔(7200万円)の先発陣が苦しみながらも粘り強いピッチングで勝ち星を挙げ、野手陣では26歳コンビの宗佑磨(5700万円)、中川圭太(2200万円)、20歳の紅林弘太郎(2880万円)が主力として活躍したから。そして何より、救援陣の阿部翔太(830万円)が44試合で22ホールド&防御率0.61、本田仁海(500万円)も42試合で14ホールド&防御率3.50と、今季年俸の期待度をはるかに上回る働きを披露したことが大きな原動力になった。
改めて両チームの選手を「年俸」のフィルターに通して見ても、「ハズレ」の少なさと「コスパ」の良さを感じ、両チームの年俸総額が“ほぼ同額”であることに深くうなずく。だが、その両チームでも“違い”はある。10月20日に公示された日本シリーズの出場資格者名簿40選手の顔ぶれ(外国人選手を含む)を年俸で見ると、ヤクルトは合計29億5450万円に対して、オリックスは合計22億4715万円。年俸1億円以上の選手が9人いるヤクルトに対して、オリックスは3人となっている。この“差”が、どのようにシリーズの勝敗に影響するのだろうか。
第3戦以降も昨年に続く熱戦、激戦、死闘が期待される2022年の日本球界最高峰決戦。昨年はヤクルトが4勝2敗で日本一に輝いたが、今年も同じ結果になるのか。それともリベンジ成功となるのか。両チームともに役者はそろっている。彼らが年俸に見合う活躍、もしくは年俸を上回る活躍を見せることができるのか。一戦一戦、一球一球から目が離せない。
※推定年俸は「日刊スポーツ参照」。カッコ内の数字は今シーズンの推定年俸の金額。