【フランス】

 選手たちのリーグ戦での調子をもとに予想するのであれば、現・王者が優勝候補に入ってきてもなんらおかしくはないだろう。

 確かに前回優勝を支えたポール・ポグバ、エンゴロ・カンテの2人の中盤を欠くことは大打撃(ポグバは大会には間に合うだろうがコンディションは万全ではないだろう)で、ラファエル・ヴァランも出場できるか不安がある。だが、さすがは世界最高峰の育成大国。2018年メンバーに匹敵するような若手選手が次々に登場している。

 チームの要である中盤は、ともにレアル・マドリーでプレーするオーレリアン・チュアメニとエドゥアルド・カマヴィンガが台頭。本大会もファーストチョイスになることが予想される。経験を不安視する声は確かにあるが、ことサッカー界においてレアル・マドリーで活躍すること以上に重圧を経験することはない。またヴァランが間に合わなかったとしても、リュカ・エルナンデスやプレスネル・キンペンベ、ジュール・クンデらに加え、アーセナルを支えるウィリアム・サリバがその穴を埋めるはずだ。

 キリアン・エムバペ(PSGとの契約について様々な報道が相次いでいるが、本人の発言からその意識はしっかりとピッチ内へ向かっているように見える)、アントワーヌ・グリーズマン、オリヴィエ・ジルーと優勝を支えた攻撃陣もハイパフォーマンスを継続中。そして前回大会と大きく異なるのが、カリム・ベンゼマの存在だ。キャリア最高の1年をバロンドール初受賞という最高の形で締めくくったレアル・マドリーのエースは、EURO2020で驚きの“レ・ブルー”復帰を果たすと、以降16試合で10ゴール2アシスト。ディディエ・デシャン監督との関係も修復され、2014年大会以来の大舞台に燃えているはずだ。

 だが、フランスは直近数年間はチームとしての最適解を見つけられずに苦しんでいる印象もある。また、ワールドカップの連覇を達成したチームはたった2つ。1934年と1938年大会のイタリア、1958年と1962年大会のブラジルだけだ。さらに直近3大会は、前回優勝国がいずれもグループリーグで敗退している。不吉なジンクスを含め、自分たち自身との戦いは大きな壁となるだろう。どのチームにも言えることだが、オーストラリアとの初戦でどのようなスタートを切れるかが重要になりそうだ。

(文・三上凌平)

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