カタールで行われるサッカーワールドカップ開幕まで1カ月を切った。強豪国はいずれも豪華なメンバーを揃えるが、上位進出のために大事になってくるのが選手の能力とともに、いかにベストコンディションで大会を迎えるかだ。現在、大会へ向け好調を維持している選手が多い国はどこなのか。ワールドカップ制覇の気配も漂う3カ国の状態を紹介したい。
* * *
【ブラジル】
「カタール・ワールドカップ優勝候補はどこ?」と問われたら、真っ先に名前の挙がる国の1つだろう。日韓大会を最後に20年間王座から遠ざかる“王国”だが、今大会は最高の状態で、最大のチャンスを迎えたと言っても過言ではない。
今季の主力選手たちの状態には文句のつけようもない。近年ケガやピッチ外の問題で苦しんできたネイマールも、ここまで公式戦17試合で13ゴール10アシスト。最後となる可能性のあるサッカーの祭典に向け、ここ数年と顔つきがまるで違う。
また欧州王者レアル・マドリーを牽引するヴィニシウス・ジュニオールもここ1年で新たな高みへ到達し、ハフィーニャらと形成する攻撃陣は世界最高レベル。大ベテランDFチアゴ・シウバとマルキーニョスやGKアリソン&エデルソンなど、守備陣も盤石だ。
ここに好調のロベルト・フィルミーノやアントニー、新天地で本領を発揮し始めたカゼミーロ、ニューカッスルで躍動するブルーノ・ギマランイス、そして9月の代表ウィークではなぜか呼ばれなかったガブリエウ・ジェズスなども加わるはずだ。またプレミアリーグで首位を走るアーセナルの“2人のガブリエウ”も、前回は招集外となったがスカッドに厚みを加える力は持っている。
そして選手の状態だけでなく、チッチ監督の下でチームとしての完成度も世界屈指だ。昨年のコパ・アメリカの決勝でアルゼンチンに敗れて以降は無敗を継続し、勝ち続ける中でチームベースの構築に成功。特にメンタリティの部分で確固たる自信をつけた。その上で複数の選手を試しながら、本大会へ準備を進めてきている。どこを見てもスキがなく、グループリーグも比較的恵まれた組み合わせ。彼らの20年ぶりのワールドカップ制覇を阻むものは、現時点ではないようにさえ思える。
だが「優勝候補大本命」が優勝できないのがワールドカップでもある(前回大会のドイツが良い例だ)。カタールの地でどのような結末が待ち受けているのか、“セレソン”の戦いには注目だ。