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■赤ちゃん誕生を日中で祝福

 日中国交正常化45周年の節目でもあった2017年、リーリーとシンシンの間にシャンシャンが生まれ、日本のメディアは大いに沸き立った。関係改善の模索途上にあった日中両国政府は、ともにこのパンダ誕生を祝福するメッセージを出し合った。上野では2021年にシャオシャオとレイレイの双子も誕生し、2頭は大いに人気を集めている。

 こうしてながめてみると、パンダは日中の政治関係に翻弄されながらも、強靭な人気を維持してきたことがよく分かる。日中両国の社会がパンダを大切に育てたいという価値観を共有し、国同士の関係が悪い中でも前向きに協力できてきたことには、それなりの意義を認めてもよいのではないだろうか。

パンダを入り口にして、私たちは今後、動物と人間の関係や日中関係などの様々な問題について、どんな未来がより望ましいのかしっかりと考えていくことが大切だろう。 

家永真幸(いえなが・まさき)
東京女子大学国際社会学科准教授。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。専門は中国政治・外交史、現代台湾政治。主著に『国宝の政治史――「中国」の故宮とパンダ』『中国パンダ外交』などがある。

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