がんと診断されて、あるいは治療を受けることが決まって、これまで考えてもいなかった出来事に戸惑うことも多いでしょう。何からどう調べたらいいかわからない、ということも起こります。

 例えば「近くの病院でがんと言われたけど、治療はどこで受けるのがいいのだろう」など病院選びの悩みもあるでしょう。「がんの治療法を提示されたけど、他の治療法がないか知りたい」「二つの治療法から選ぶように言われたけど、どうやって決めればいいかわからない」など治療の選択で悩むことや、「診察の時に直接医師に聞けなかった」こともよくあります。また「治療費がどれくらいかかるのか?」「治療費もかかるし、治療を続けられるか心配」など医療費・生活費などお金の問題、「治療を受けながら仕事(学校)を続けられる?」「仕事を休まないといけないけれど、どうやって職場に伝えよう」「家族(親や子ども)にどう伝える?」「治療中の子どもの世話や親の介護はどうすればいい?」など就労や家族、家庭内のことで悩むこともあるでしょう。

 さらに治療を続けていくなかで、「副作用でこれまでできていたことができなくなったけれど、何かできる工夫はある?」など療養生活のなかで、これまでの生活を変えなくてはいけないことについてなど、がんに関してさまざまな困りごとや悩みが出てくることがあります。相談支援センターでは、こうした困りごとや悩みに関して、必要な情報を一緒に探したり、解決につながる方法を探す手伝いをしたりすることで相談に応じています。

 また、担当医とうまく話せない、ぶっきらぼうな感じがしてこれから治療を受けるのが心配などということもよくあります。「先生に治療についての不安を伝えたら、これが最適の治療だとしかられてしまった。落ち込んだし、腹も立った。でも、がん相談支援センターに行って、相談員と話をしたら、治療法について理解が深まって納得できた。先生は私のことを思っていて励まそうとしたんだな、と思えるようになった」と、冷静にその場面を振り返ることができたという患者もいます。治療を続けるためには、担当医とよい関係を築くことが大切です。そして治療を受けるにあたって自分がどんなことが心配なのかを、伝えることも大切です。自分が伝えたいことや次の診察で質問したいことの整理をしたり、また相談によって担当医が伝えたかったことが見えてきたり、診察場面での話し方のアドバイスを得られたりします。病院や状況によっては、相談員や医療スタッフが診察に同席できるよう対応してくれる場合もあります。心配なことがあれば、ぜひ相談支援センターを利用してみてください。

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