しかし、大橋医師のようなプロフィルを持つ医師はまだ少ない。このようになんでも相談できる医師を現時点でどう探せばいいのか。

 大橋医師は総合診療ではなく、専門診療科出身の開業医にも、勉強を重ね、能力を十分に身につけた医師はいると言う。

「私たち総合診療医から見ても、すごいなと尊敬できる医師もいますので、あきらめずにぜひ、いいかかりつけ医を見つけてほしい」

 条件としては、まず診療科だ。内科、循環器内科、消化器内科、などのいわゆる内科系の専門である医師ならOKだという。

 もう一つはクリニックが自宅から近いこと。

「年を取ってくると徐々に出向くのがおっくうになる。遠くてもタクシーで1メーターくらいがいいですね。ちょっとした不調で受診をすることで、病気の早期発見ができる。これがかかりつけ医のメリットです。遠くのかかりつけ医だと、『不調があるけど、遠いから我慢しよう』となりかねません」

 かかりつけ医の候補が見つかったら、まずは受診してみる。病気がなければ健康診断を受けたり、予防注射の接種でもよい。

「そこで受診理由とは関係のない不調などについて、質問をしてみましょう。そのときに話を聞くだけでなく、治療手段を提案してくれたり、『必要な場合は適切な医師に紹介します』と言ってくれる医師であれば、かかりつけ医としてふさわしいと思います」

 また、可能であれば、前述のように、在宅医療もやっているクリニックがのぞましい。家族に介護が必要になったときに、どのような介護サービスを受けるといいか、患者本人だけでなく、「介護の負担を軽減する」という視点でも、相談にのってもらえる。

「そうした点では、ケアマネジャーや介護士の口コミはすごく当てになります。また、地域の総合病院などの地域連携室のソーシャルワーカー、調剤薬局の薬剤師も情報を持っています」

 いいかかりつけ医は意外と身近にいるのかもしれない。そのためには、患者側の努力も必要ということだろう。

(文・狩生聖子)

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