ところがこの暫定的な、利用者側からすれば緊急の一時避難的なプランが、あとあとトラブルに発展するケースが少なくないのです。

■軽い認定結果だと、自費でサービス料を支払う義務も

 問題が起こるのは、仮の認定度よりも軽い認定度が出た場合です。たとえばこんなにからだが不自由だから要介護度3以上に違いないと家族が思っても、介護認定審査会が出した結果は要介護度1だった、というケースです。特別養護老人ホーム(特養)は入居希望者が多く、順番待ちなどですぐに入れる状況ではありませんが、それでもなにかのタイミングですぐにショートステイなどのサービスを利用できたとします。その後の正式な認定が要介護度1になると、要介護度3以上しか認められていない特養の利用を変更して、新たに施設を探さなければなりません。さらに暫定的に受けた要介護度3相当のサービス利用料は介護保険の対象とならず、自費で支払うことになります。介護保険が適応されると自己負担額は1~3割ですみますが、10割払うことになるとけっこうな金額に。

 もちろん、暫定ケアプランにはケアマネジャーがかかわるので、このように極端なケースはあまりありませんが、それでも、要介護だと思って介護老人保健施設(老健)になんとか預かってもらったら、正式な認定は要支援で、退所と自費での支払いが発生したなど、本来なら軽度の認定ですんだのだから喜ぶべきところを、認定結果に右往左往するという事態に陥ってしまいます。揚げ句の果てに、「ここも出ていかなければならないなんて、私たちはどうしたらいいんですか」「こんなに費用がかかると思わなかった」などと、施設側を非難するような人もゼロではありません。

 困り果てた人の力になりたいと腐心した私たちは、やりきれない気持ちになります。介護施設のなかには、トラブルを避けるために、「要介護認定が出ていないと利用できません」と最初から断るところも増えています。

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余裕がないことが混乱の原因