巨人の中田翔
巨人の中田翔

 来季のV奪回を狙う巨人。元ソフトバンクの松田宣浩を獲得し、長野久義が広島から無償トレードで電撃復帰したことで、選手層に厚みが増した。だが、現有戦力の活躍が浮上のカギを握る。

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 気になるのは、4番打者だ。2020、21年に本塁打、打点の2冠に輝いた岡本和真が19年9月から「不動の4番」として活躍してきたが、今年は打撃不振により、8月11日の中日戦で6番に降格。その後にシーズン閉幕まで4番に戻ることはなかった。

 岡本に代わって、4番に入ったのが中田翔だった。昨年のシーズン途中に日本ハムから電撃トレードで加入したが、34試合出場で打率.154、3本塁打、7打点と期待を裏切る結果に。背水の陣で迎えた今季はシーズン途中で、打撃フォーム改造を断行したことが吉と出る。打率は一時3割を超えるまで急上昇。岡本と入れ替わる形で8月から4番に座ると、勝負強い打撃で役割を全うした。109試合出場で打率.269、24本塁打、68打点と復活。一塁の守備での貢献度も高く、移籍後初のゴールデングラブ賞を受賞した。

 スポーツ紙デスクは、「日本ハムで4番を務めていた時は打点王を3度獲得したが、確実性が低く長打重視の打撃だった。今は全くの別人です。ボールの内側を叩くことを意識したインサイドアウトの軌道を徹底し、ミート能力が格段に上がった。中田の場合は目一杯振り回さなくても打球が飛んでいくので、長打力が落ちていない。本人も今の打撃に手ごたえをつかんでいるでしょう。来季は故障がなければ、打率3割、30本塁打を十分に狙えると思います」と評価する。

 岡本も負けられない。今季は140試合出場で打率.252、30本塁打、82打点。右打者で球団史上初の5年連続30本塁打を記録したが、求められる水準は高い。決して確実性が低い打者ではない。18年に打率.309、33本塁打、100打点をマーク。22歳3カ月で「打率3割、30本塁打、100打点」をクリアしたのは史上最年少記録だった。

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