結果的には、レンジャーズはAロッドを擁しながらも3年連続で地区最下位に沈むなど大型契約を持て余すようになり、04年2月に残りの1億7900万ドル(248億円)のうち6700万ドル(約93億円)を負担することでヤンキースへAロッドをトレードした(交換選手はアルフォンソ・ソリアーノら2人)。レンジャーズ視点で言えば大失敗の契約なのだが、ロドリゲス個人に焦点を当てればこの契約は必ずしも失敗ではなかった。

 レンジャーズ時代の3年間は、チームの低迷をよそに52本塁打、57本塁打、47本塁打と3年連続で本塁打王のタイトルを獲得。02年は142打点で二冠を制し、03年はキャリア初のリーグMVPを獲得した。ちなみにこの2年間は守備でもゴールドグラブ賞に選ばれている。

 ヤンキース移籍後も05年に打率3割2分1厘、48本塁打、130打点、21盗塁で2度目のリーグMVP、07年には打率3割1分4厘、54本塁打、156打点、24盗塁で3度目のリーグMVPと大活躍。このオフに残り3年の契約を破棄する代わりに新たな10年総額2億7500万ドルでヤンキースと再契約したため、当初の契約は実質的に7年間となった。

 この7年間の成績は打率3割4厘、329本塁打、908打点、132盗塁(1年あたり47本塁打、130打点、19盗塁)。ラミレスやプホルスと違ってワールドシリーズ制覇には縁がなかったが(キャリア唯一のWS優勝は2度目の長期契約中の09年)、十分に大型契約に見合った活躍だった。

 打者に比べて消耗が激しい投手はそもそも長期の大型契約例が少なく、いくつかを取り上げてもケビン・ブラウンの7年1億500万ドル(約146億円)やバリー・ジトの7年1億2600万ドル(約175億円)といった失敗が目立つが、マックス・シャーザーが2015年に結んだ7年2億1000万ドル(約291億円)の契約はレアな成功例となった。

 2008年にダイヤモンドバックスでメジャーデビューし、10年からはタイガースでプレーしたシャーザーは、13年に21勝3敗、防御率2.90、240奪三振で最多勝とサイ・ヤング賞を獲得。翌14年も18勝で2年連続の最多勝を獲り、そのオフにナショナルズと大型契約を結んだ。30歳からの長期契約と不安要素はあったが、新型コロナウイルスで短縮シーズンとなった20年を除けば毎年2ケタ勝利をマーク。16年と17年には2年連続でサイ・ヤング賞にも輝いた。19年にはナショナルズ史上初となるワールドシリーズ制覇にも貢献している。

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30歳での大型契約は未知数