外来現場でも、こうした偏見に関する訴えを耳にすることがしばしばあります。「コロナになった後、咳だけが続いている。周囲から冷たい目で見られるから、なんとかして咳を止めたい……」「コロナになってから数カ月も咳が続いている。コロナが治っていないのではないかと上司や職場の同僚に疑われています……」などがその一例でしょう。
私自身、コロナに罹患した際「コロナ陽性であることを誰に伝えるべきなのか」悩みました。今から思えば、自分がコロナになったことで今後被るであろう偏見を少なからず意識していたような気がしています。
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)