うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格した杉山奈津子さんも、今や小学生の男の子の母。日々子育てに奮闘する中でとり入れている心理テクニックや教育方法をお届けします。今回は「人の動かし方」についてです。杉山さん自身が心理カウンセラーとして学んできた学術的根拠も交えつつ語る『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』も絶賛発売中です。ぜひご覧ください。
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米国の作家デール・カーネギーのベストセラー『人を動かす』によると、相手を行動させるためには、「相手の立場に立つ」ことが何よりも大切だということです。なぜかというと、私たちは、自分が好むものばかりに興味を持ち、それを人に話したがってしまうのです。
例えば私は、家具やインテリアを見るのが好きです。しかしそのことに関して、小学3年生の息子に詳しく説明してパンフレットなどを見せたとしても、決して私と同じ熱量で話に向き合ってはくれないでしょう。一緒に店に行こうと言っても、「行きたくないな。それより……」と、興味なさげに話題を変えられるに違いありません。
■相手の好きなものを話題にする
しかし、もし息子が今ハマっているポケモンについて話をしたら、前のめりで食いついてくるでしょう。一緒にポケモンカードを買いに行ったり、ゲームで遊んだりしたいと言い出すかもしれません。
人を動かすためには、自分ではなく、相手の好むものを話題にすべきなのです。
カーネギーの同著書では、人を動かす技にたけていたというイギリスの元首相ロイド・ジョージの例が紹介されています。彼は、「釣り針には魚の好物をつけるに限る」 と言ったそうです。
釣りざおに、自分の好きな食べ物であるケーキやクッキーをぶら下げたとしても、魚は寄ってきません。もし魚を釣りたいのならば、魚の好物である虫を餌としてくっつけなくてはいけないのです。
これと同じことが、育児にもいえます。
例えば、子どもが勉強したくないと言い出したとき、ただ単に「そんなこと言わずにしっかり勉強しなさい」と言ったところで、あまり意味をなさないでしょう。「勉強してほしい」というのは、親の欲求なのです。
「やりなさい」と強く怒って、勉強をしたとしても、きっとその場限りです。そうではなく、子どもの立場に立って、興味をもつ言葉を考えなくてはなりません。