丸山は前橋育英時代から抜群の運動能力で活躍し、3年夏には甲子園で1大会個人最多タイ記録となる8盗塁をマークしている。明治大では怪我に苦しんだ時期もあったが、4年時には春秋連続でベストナインを獲得し、昨年のドラフト2位という高い順位でプロ入りを勝ち取っている。今年は一軍で2盗塁に終わったが、二軍では32試合で14盗塁と驚異的な数字をマークした。並木、丸山ともに一軍レベルの投手を相手にした時の打撃が課題となるが、その脚力は大きな武器だけに来季は飛躍の1年としたいところだ。

 一方のパ・リーグで真っ先に名前が挙がるのはやはり五十幡亮汰(日本ハム)だ。中学時代に陸上の100メートル、200メートルで全国優勝したことは有名な話で、2020年のドラフト2位で入団。1年目は太もも、今年は腰の故障に苦しんだが、一軍通算33試合で12盗塁とその実力の片鱗を見せている。平凡な内野ゴロや送りバントでも、守備の処理が少し遅れただけで内野安打になる脚力はプロ野球の歴史でもナンバーワンと言える存在だ。3年目の来シーズンこそは、コンディション面を整えてレギュラー、そして盗塁王獲得を目指してもらいたい。

 パ・リーグの若手で今年大きく成績を伸ばしたのが三森大貴(ソフトバンク)だ。プロ入り6年目の今年はセカンドのレギュラーに定着し、周東に次ぐチーム2位となる20盗塁をマーク。成功率.870は両リーグで20盗塁以上を記録した選手でトップの数字である。パンチ力のある打撃も魅力だが、一塁まで常に全力疾走を怠ることがなく、内野安打も多い。ソフトバンクのスピードスターというと周東のイメージが強いが、打撃に関しては三森がリードしているだけに、来季はさらに数字を伸ばすことも期待できそうだ。

 パ・リーグでもう1人紹介したいのが渡部遼人(オリックス)だ。慶応大ではそのスピードと高い守備力が買われて1年春からリーグ戦に出場。4年間のリーグ戦では24盗塁をマークし、失敗ゼロという数字を誇る(4年春の全日本大学野球選手権では盗塁死あり)。ルーキーイヤーの今シーズンは一軍では1安打、1盗塁と寂しい数字に終わったものの、二軍ではチームトップとなる13盗塁を記録し、そのスピードをアピールした。打撃は大きな課題だが、来シーズンは吉田正尚が抜けるため、一軍で外野の一角を狙いたい。

暮らしとモノ班 for promotion
ヒッピー、ディスコ、パンク…70年代ファションのリバイバル熱が冷めない今
次のページ
来季は各チームのスピードスターに注目