
そしてこの1年間、天プロの試合をずっと見ていて感じたのは、最近は試合のレベルが上がって、選手もスピーディーになっているということだ。一人が突出しているんじゃなくて、全体がレベルアップして、それに引っ張られて出場しているレスラーが「俺も頑張ろう」と、競争意識も芽生えて面白くなっているんじゃないかな。
そんな2022年の天プロで特に印象的だったのは、レイパロマだな(笑)。あいつがなんだかんだ天プロで一番売り出したMVPだよ。パロマの入場曲は沢田研二の「ストリッパー」なんだけど、沢田研二が好きだった女房が「あんなことにジュリーの歌を使って!」と怒っていたなぁ(笑)。
パロマはよく試合中にトランクスが脱げてケツを出すんだけど、ちゃんと実力があって、一生懸命戦っているから笑えるんだよね。1から10まで下手だったら、あんなに笑いはとれないよ。ウラカン・ラナをはじめ、ちょこちょこいい技を思い出したようにやるし、不思議なレスラーだ。それもこれも含めて、エンターテインメントを分かっているし、試合の間やタイミングもいい。ふざけているようで、やっていることは一流だ。
渡瀬瑞基も頑張っているね。やられてもやられても、何度でも立ち上がってくるし、見ている者に何か訴えるものがある。派手な技こそないが、気持ちの強さがいいね。それから、まったく無名のレスラーだったのに、ここまで昇りつめた矢野啓太も大したもんだよ。彼のテクニックを見ているとうならされるし、本当にプロレスが好きなんだなと感心させられる。なんで今までくすぶっていたんだろうね。これまで黙々とやってきた分、基礎もあるし、まだまだ伸びるチャンスがあるよ。
今の天プロでは佐藤光留も頑張ってくれている。彼は商売人だからやっぱり上手いよ。商売人というのは別に悪い意味じゃないよ。どうしたら会場が陰になるのか陽になるのか理解しているから、見ているこっちからしたら心強いよね。その佐藤光留を矢野啓太がサポートしていて、彼らはちょうどいいコンビニなったね。佐藤と矢野はインディ界のザ・ファンクスだよ!