■すてきな余韻をいつまでも残してくれる
このように、さまざまな魅力にあふれ、まさに令和ナンバーワンのラブストーリーと言っても過言ではない「silent」。
失聴者と聴者に限らず、行き違いやすれ違いは確かにもどかしい。だが、都合の良いドラマのようにテンポよくスムーズにコミュニケーションが進む方が、現実世界ではむしろ不自然だ。「silent」はその点において非常にリアルであり、そこが見る人の心を惹きつけ続ける。私たちの生活と地続きな、すてきな余韻をいつまでも残してくれる、記憶と歴史に刻まれるべき作品である。(中村裕一)