――そうかもしれませんね。ただ、研究者になるという意志はずっと揺らがなかったわけですね。
小学校からずっと変わらない。だから、別の就職先みたいなことをちらっとでも考えたことはない。
――最後に女子学生たちへのメッセージを。
親とか周りの人が「女の人がそういうことをすべきじゃない」と言うのは全部無視したほうがいいと思います。ただ、自分自身でそういう束縛というか、そういう制限要因の中で暮らしているんだということを自覚しないとダメで、それが結構難しい。
でも、これから先の世の中はどんどん変わるでしょ。日本はゆっくりだけど、それでも男女が平等になる方向に変わりつつある。だから女の子たちは自分の感性を大事にして、自分の欲望に正直にいろんなことを貫いてほしい。それは絶対不利にならないと思います。
長谷川真理子/東京生まれ、東京大学理学部卒、理学博士(東京大学)。専修大学法学部助教授、教授、早稲田大学政治経済学部教授を経て総合研究大学院大学教授、副学長、学長。主な著書に『進化とはなんだろうか』(岩波ジュニア新書)、『進化と人間行動』(長谷川寿一との共著、東京大学出版会)、『進化生物学への道』(岩波書店)、『私が進化生物学者になった理由』(岩波現代文庫)など。