西武HDは19年に池袋に高層の新本社ビル「ダイヤゲート池袋」を開業。後藤社長と高野区長はかねて街づくりについて積極的に意見交換をしてきた経緯がある。後藤社長とも、共闘していきたい意向だ。>

――ただ、百貨店経営は非常に厳しく、仮にヨドバシ側が高層階なら入らないと判断した場合、西武百貨店本店の今後はどうなるのか。区として、何か提案を持っているのか。

高野区長 そこは民間に任せることで、区としての案はありません。ですから、行政が民間に口を出すなとの批判があるのは、ごもっともです。ただ、確かに今の情勢で百貨店に入りたいと希望する企業やテナントは多くはないと思いますが、西武百貨店本店の立地なら文化の側面を守りつつ、来てくれるところはあるのではないか。そのためにも、まずは文化の街づくりを一緒に盛り上げるために、先方に区の考えを聞いていただきたいのです。

――区長は「文化」や「アート」を強調するが、池袋駅周辺には歓楽街が広がり、夜の店や風俗店も多くホテル街もある。外国人や関連の店も多く、雑多な文化が根付いた街だとも捉えられる。

高野区長 私は池袋に生まれ池袋に育ちました。猥雑さが残っている点も含め、それが池袋という街の魅力です。文化やアートの街づくりとともに、そうした猥雑さも、しっかり残していきたいと考えています。
 
 12月20日には、地元の観光協会や商店街連合会など7団体が連名で、西武HDの後藤社長あてに、同じ内容の嘆願書を提出したという。

 大規模なターミナル駅でありながら、かつては駅から人が街に出ない通過駅として、「駅袋」などと揶揄された歴史が池袋にはある。そんな街に活気を呼び込む努力は、官民ともにやってきた。文化やアートの拠点が整備されてきたのも事実だ。ただ、「家電量販店が街の雰囲気を壊すか否か」は、意見が分かれるところだろう。

 本店をめぐる、今後の動きが注目される。(AERA dot.編集部・國府田英之)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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