――ビックカメラへの配慮ではないのかとの声もある。また、09年に東口にあった「三越伊勢丹」跡地にヤマダ電機が国内最大級の店舗をオープンした際には、区長は反対していないが、そこを区民にはどう説明するのか。

高野区長 家電戦争の街、のイメージが強くなりすぎることは懸念していますが、ビックカメラへの配慮はまったく念頭にありません。本店の低層階でなければ、ヨドバシさんに来ていただきたいと考えていますから。また、区がパートナシップ協定を結んでいる企業は数十社あります。ビックカメラだけが、という話ではないのです。

――区長の言う「セゾン文化」はかなり昔の話で、バブル崩壊とともに終わったという指摘もある。それをもって西武百貨店本店の価値を説くのは、特に今の若い世代にはピンとこないのではないか。

高野区長 古いことは認めます。ただ、セゾン文化の潮流はいまも続いていると考えています。また、これも若い方はご存じないかと思いますが、池袋周辺には1920~40年代ごろにかけて多くの若い画家たちが住居兼アトリエに集った「池袋モンパルナス」と呼ばれた文化圏がありました。セゾン文化より昔から、文化とアートが息づいた街だったのです。そうした池袋の歴史は、もっとていねいに説明していかなければならないと感じています。

――西武HDの後藤社長に嘆願書を出したのはなぜか。

高野区長 あれは、新聞記事が発端です。後藤社長は、11月末の日本経済新聞紙上で、ヨドバシ出店計画の是非について、「池袋はアート・カルチャーが集まる文化都市として着実に街づくりを進めてきた」と評価した上で、本店についても「高級ブランド店を中心に文化発信拠点の役割を担ってきた」「百貨店の文化的側面を大切にしたい」として、フォートレス社などと丁寧な話し合いをする必要がある、との考えを述べていたのです。あの記事を拝見し、まさに豊島区の考えるところと同じだと考え嘆願書を送った次第です。

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「猥雑さ」が残るのも池袋の魅力