西武池袋本店(東京都豊島区)の低層階に家電量販店大手のヨドバシカメラが出店する計画について、豊島区の高野之夫区長が反対の考えを表明した。民間企業への異例の意見表明に対し、「行政の越権行為」「ビックカメラに忖度したヨドバシ排除」など、批判や疑念の声が飛びかっている。なぜ、ヨドバシの出店に反対しているのか。多くの批判の声にどう答えるのか。高野区長に真意を聞いた。
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昨年11月、「そごう・西武」の親会社であるセブン&アイ・ホールディングスは、投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに「そごう・西武」を売却すると発表した。
その後、フォートレス社とヨドバシホールディングスが協力し、西武池袋本店の低層階(1~4階)にヨドバシカメラを出店する計画が進んでいると報じられた。
これに対し高野区長は12月14日の記者会見で、ヨドバシ出店に反対意見を表明。本店の土地の50%を保有する西武ホールディングスの後藤高志社長に、嘆願書を送ったことを明らかにした。
反対の理由について、区長は会見や嘆願書で「海外ブランドショップの撤退を招き富裕層が離れる」「築き上げてきた文化の街の土壌が喪失する」などを挙げている。
自治体の長による異例の民間への“口出し”には批判や疑問の声が噴出。池袋駅周辺にはビックカメラが複数の店舗を構え区とは長年、協力的な関係にあり、さらにビックと区が昨年10月に豊かな街づくりを目指した「パートナシップ協定」を結んでいたことから、「ビックカメラに忖度したヨドバシ排除」をいぶかる声も出ている。
区長の真意は、いったいどこにあるのか。AERA dot.は昨年12月下旬に高野区長を直撃した。
――池袋は家電量販店がひしめき「家電戦争の街」とのイメージもある。なぜ、ヨドバシ出店に反対なのか。
高野区長 出店に反対しているのではありません。西武百貨店本店は池袋駅東口の玄関に立地する街の『顔』であり、昭和には『セゾン文化』と呼ばれた文化の発信地であった、まさに池袋の象徴なのです。昔は『汚い、怖い』と言われがちだった池袋を、私たちは文化の街にすべく努力してきました。その象徴として存在する西武百貨店本店を、変容させてほしくないというのが私の本意です。