「人前で演奏するのも、英語を話すのも、“慣れ”って大事だなと思います」(撮影/吉松伸太郎)
「人前で演奏するのも、英語を話すのも、“慣れ”って大事だなと思います」(撮影/吉松伸太郎)

Q. 廣津留さん自身は、小さい頃から音楽を習ってよかったなと思うことはありますか?

 A. 幼いながらに、音楽は一人ではできないとわかったことですかね。共演のピアニストさんをはじめ、舞台袖のスタッフさんや他の演奏者たちと息を合わせて本番を成功させるにはチームワーク力がないとできない。これは音楽に関わらず世の中の全てのものに通じます。それと、自分が伝えたいことを音に乗せて表現できるようになったこと。英語が今ほどは流暢に喋れない頃に全米ツアーを行った際も、言葉で説明できないことでも音楽を通せばツアーメンバーたちと共有することができたんですよね。非言語でもお互いに伝わる感覚がたまらなく気持ちいいんです。音楽は自己表現でもあり、言語でもあるなと実感しました。

 あと、音楽だと自分の表現を人前でまるっとさらけ出すことに抵抗がないというのもあります。傍から見れば違いはないんでしょうけど、これを音楽じゃなくて絵で表現してみてと言われたら、恥ずかしくてできないと思うんです。小さい頃から家に遊びに来た人の前でバイオリンを弾く機会があって、人前での演奏に慣れてきたというのもあり、みんなが拍手をして盛り上がってくれるのを目の当たりにすることが、子どもながらにうれしくて充足感もあったんだと思います。

 慣れって大事ですよね。「人前で英語を喋るのが恥ずかしい」という人も慣れていないだけだと思います。聞く側からしたら、相手から出てくる言葉が文法的に正しいか正しくないかって、あまり関係ないじゃないですか。何でも慣れれば悩むことはなくなるので、小さい頃からやり続けることの良さって、慣れることでもあるなと思います。克服したいことがあれば、とりあえず実践あるのみ。慣れてしまえば、こっちのものですよ!

構成/岩本恵美 衣装協力/BEAMS

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