■子宮体がんでは手術と薬物療法が選択されることが多い
子宮体がんは、女性ホルモンと関わりの深いがんとされ、肥満の人、出産経験のない人、50歳以上の閉経後の人に多い傾向があります。不正出血などの症状が比較的早く出ること、閉経後に出血がみられるため早期受診につながりやすいことから、「体がんの約7割はI期で見つかる」と、兵庫県立がんセンター副院長・婦人科部長の山口聡医師は話します。
がん細胞の性質により、おとなしくゆっくり進行するタイプと悪性度が高いタイプに分けられ、それぞれで治療への反応や進行の仕方、予後が異なります。
「女性ホルモンに関連して起こる体がんの多くは進行がゆっくりで治療効果も得られやすく、III期で発見されても5年生存率が7~8割と、比較的予後は良いがんといえます」(田中医師)
診断では、子宮頸がんと同様に最初は細胞診をおこないますが「体がんでは、細胞診の精度は7割ほど」と山口医師は指摘します。
「細胞診だけでは見逃してしまう可能性もあるため、細胞診で異常がみられなくても症状がある場合は必ず組織診もおこなうようにしています」
子宮体がんの治療では、基本的には手術が選択されることが多くなります。手術では、子宮と両側の卵巣、卵管を切除することが基本となり、がん細胞の悪性度や病期によってはリンパ節の切除もおこないます。
腹腔鏡手術やロボット手術も増えており、傷が小さい、出血が少ない、術後の回復が早いなどのメリットがあります。がんが子宮体部にとどまっているI期でがんの広がりが子宮筋層の2分の1未満で、がん細胞の悪性度が低いタイプであれば、腹腔鏡やロボット手術の良い適応となります。
子宮体がんは、手術後に切除したがんの病理組織を検討し、がん細胞の性質や悪性度、がんの広がり具合から再発リスクを予測し、その後の治療方針を決定します。多くの場合、術後に薬物療法が選択されます。
「海外では手術+放射線治療をおこなう国もありますが、日本では手術+抗がん剤が主流。術後追加療法としては薬物療法のほうが放射線治療より治療成績がいいという報告もあります」(山口医師)