子宮腺筋症の治療
子宮腺筋症の治療

 子宮を摘出するため、術後は腺筋症が再発することはない。子どもがおり、これ以上妊娠を望まない人、月経に関わる症状や貧血がひどく、生活への支障が大きい人、閉経まで少し時間がある人、仕事などが忙しく薬物療法が困難な人などに、治療の選択肢として提示される。

■治療により何を求めるか

 子宮腺筋症は、女性にとって長くつきあっていく病気だが、治療の選択肢はいくつもある。妊娠・出産を希望する人は、薬物療法をして進行を抑え、悪化させないことが重要であり、症状を緩和することでQOLを向上させることもできる。また、手術を選択してつらい症状から解放され、仕事や生活を楽しめるようになる人もいる。

 大事なのは「治療により何を求めるか」を考え、ベネフィット(恩恵)とリスクをよく理解した上で、ライフステージやライフスタイルに応じた適切な治療を選択することだと、今回取材した医師たちは話す。

「まずは、自分の症状がどのぐらい重いのか、生活にどのような支障をきたしているのかを意識することが治療の第一歩になるでしょう」(福士医師)

「薬物療法は腺筋症を根治させるものではありませんが、10の痛みが0にならなくても、3になるだけで、患者さんの気持ちやQOLは変わります。満足できる治療選択をするためにも、医師と十分に相談していただきたいと思います」(小林医師)

(文・出村真理子)

※週刊朝日2023年1月27日号より