「柳麺 呉田-goden-」の黒舞茸と近江黒鶏の昆布水つけ麺。チャーシュー、舞茸、白髪ネギ、ネギがのっている(筆者撮影)
「柳麺 呉田-goden-」の黒舞茸と近江黒鶏の昆布水つけ麺。チャーシュー、舞茸、白髪ネギ、ネギがのっている(筆者撮影)

  ちゃぶ屋の店主・森住康二さんは一つひとつの工程を大切にする大事さを教えてくれた。小さなことを大切にしていくと最後に大きな結果が待っている。森住さんの繋がりで他の名店の店主の話が聞けるのもとてもうれしかった。

 4年の修業を終えるも、まだ独立できる状況ではなく、2、3カ月悩んでいる時期があったが、そんな時、横浜家系ラーメンの名店「六角家」の社長・神藤隆さんと食事に行く機会に恵まれ「うちで働かないか」と誘いを受けた。

「六角家」でさらに3年間の修業を積んだのち、独立に向けて物件を探し始める。都内ではなかなか見つからず、たまたま見つけた北浦和の物件に決定した。駅からは近いが、分かりづらい場所にある隠れた立地なのが気に入ったという。

創業時から自家製麺を貫いてきた(筆者撮影)
創業時から自家製麺を貫いてきた(筆者撮影)

  こうして2015年2月に「柳麺 呉田-goden-」はオープンした。「呉田」は実家のある神戸の地区の旧地名から取っている。ラーメンはあっさりした清湯系にしよう決めていて、関西の醤油、関西の鶏を使い、関西縛りの一杯を作り上げた。

 初日はたった5人のお客さんだったが、徐々に口コミやネットでお客さんが増えていった。とはいえ、はじめの半年は大赤字。それでも中野さんは愚直にラーメンを作り続けた。

 その後、『ラーメンWalker埼玉』の新人グランプリ、『TRYラーメン大賞』の新人部門の受賞もあり、人気店の仲間入りとなった。特に自家製麺のこだわりは尋常ではなく、創業時から自家製麺を貫き、今も麺のうまい店として人気を博している。

「瑞山」の初谷店主も中野さんの麺には一目置いている。

「塩ラーメンには絶対においしい麺を使いたいと思い、『呉田』の麺を使わせてもらっています。とにかく小麦粉に詳しく、麺を上手に作りますね。武骨で真っすぐでその姿勢にはいつも刺激を受けています」(初谷さん)

 中野さんは初谷さんの行動力の早さにいつも驚いているという。

「いつもおちゃらけているように見えますが、厨房に入ると人が変わったように真剣な方です。普段からいろいろなものを食べて研究してそれを自分のラーメンに生かしています。アクティブでフットワークが軽く、考える前に動くタイプで、私にはない行動力でいつも尊敬しております」(中野さん)

 埼玉のラーメンシーンをけん引する二人。中野さんの麺が進化することで「瑞山」の塩ラーメンもさらに進化していくだろう。(ラーメンライター・井手隊長)

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