結局、振り込め詐欺と同様に、実行役などが捕まっても指示役などの上の犯行グループには影響が及ばない仕組みになっているとみられる。
「一番頂点にいるヤツにはまず届かない。私が怪しいと思っている人物もコロナ禍なのにずっと東南アジアの国にいました。携帯電話での指示役も、おそらく半グレが連れてきた人間で、事情はよくわかっていないはず。実行役は、素人の知らないもの同士を組ませると手柄を競うようになる。暴行するにも、ケガをさせる程度でいいのにやりすぎて殺してしまった、というのが狛江市の事件では」(Zさん)
振り込め詐欺の受け子の場合、逮捕・起訴されると執行猶予判決となる場合もある。指示役に近い立場でも、立件金額によっては5年程度の実刑で終わることも。しかし、狛江市の事件は強盗殺人という凶悪な事件だ。
元東京地検検事の落合洋司弁護士は
「全国で起きている連続強盗事件は計画的で、悪質性が高い。強盗殺人は当然ですが、相手に少しでもケガをさせれば強盗致傷で裁判員裁判となります。狛江市の事件だと強盗殺人ですから死刑求刑されてもおかしくない」
と話す。さらに、こうした凶悪事件が頻発することで、捜査やその後の裁判にも影響が出てくるようだ。
「治安維持の観点から警察の捜査のスピードは早くなり、起訴されると検察の求刑もより重くなる。裁判所も社会不安や予防的な見地を考慮し厳しい判決になる。犯行は知らない者同士が複数でレンタカーを使っている。防犯カメラ、携帯電話やカーナビの位置情報などから逃げ切るのは無理でしょう。割に合わないので、高額報酬につられて闇バイトに参加するようなことは絶対にやめてほしい」
(AERA dot.編集部 今西憲之)