その他、クレバーな守備を見せる頭脳派DF津久井佳祐(昌平高→鹿島)と、高さに加えて左右両足からの正確なキックでビルドアップ能力の高いDF行徳瑛(静岡学園高→名古屋)のセンターバック2人に、高いサッカーセンスを随所に発揮する大型ボランチのMF宇田光史朗(興国高→横浜FC)。そしてナイジェリア人の父を持つ身長190センチのFWオウイエ・ウイリアム(日体大柏→柏)と、計9人が高体連からJ1クラブに入団。J2、J3のクラブには、“二刀流”で話題をさらった身長198センチの超大型FW森重陽介(日大藤沢高→清水)ら計7人が入団した。ひと昔前と比べると、高校生たちの技術、フィジカルのレベルは確実に上がっており、高卒1年目からでも活躍できる可能性は大いにある。(高橋隆大・静岡学園高→G大阪は既にJ3奈良クラブに期限付き移籍が決定。J2、J3の選手としてカウント)
かつての名手たちのプロ1年目を振り返ると、城彰二(リーグ戦33試合12得点)、中田英寿(同26試合8得点)、中村俊輔(同27試合5得点)、小野伸二(同27試合9得点)、本田圭佑(同31試合2得点)、内田篤人(同28試合2得点)と、高校のサッカー部を引退した翌年、すぐにJリーグのピッチで傑出した数字を残している。果たして、2023年シーズンも高校サッカー界から“新星”が誕生するのか。世代別代表の大半をクラブユース組が占めるようになって久しいが、A代表のW杯出場メンバーになると依然として約半数が高体連出身者という事実もある(カタール大会で初めてユース出身者14人、高体連出身者12人と割合が逆転した)。今年もJリーグ全体を見渡すとユース昇格組の人数の方が圧倒的に多いが、それに対して「9人+7人」の高体連組がどのような「プロ1年目」を過ごすのか。そして、どのような成長曲線を描くのか。期待とともに、大いに注目したい。(文・三和直樹)