いずれにしても、昨季34試合で54失点(1試合平均1.59失点)の守備陣を立て直しは不可欠になる。昨季は結局、ゼ・リカルド監督の就任前の1試合平均1.5失点(16試合で24失点)が、就任後は1試合平均1.67失点(18試合で30失点)と悪化。ロスタイムの失点が多く、失点数だけで守備力を評価することはできないが、DFラインのメンバーも変わった中で昨季とは異なるアプローチは必要になる。「2022年シーズンに起こってしまったことを教訓に変えて、バランスよく修正を図り、同じミスをしないようにハードワークしていきたい」とゼ・リカルド監督は語る。試合の“締め方”を整え、しっかりと“勝ち癖”をつけられるか。監督続投のまま、昨季からの「修正」がテーマになる。

 同じく“サッカー王国”静岡を背負いながらもJ2降格となった磐田は、今までにない異例のオフを過ごした。理由はファビアン・ゴンザレスの契約を巡ってFIFA(国際サッカー連盟)から補強禁止処分の裁定を下されたこと。それ故に、新体制発表に出席した選手はユースからの飛び級昇格となったFW後藤啓介のみとなった。だが、その中でもDF鈴木海音、中川創、MF針谷岳晃、藤川虎太朗と昨季J2、J3でプレーした4人をレンタルバックさせるとともに、昨季6得点4アシストのMF鈴木雄斗やブラジル人DFのリカルド・グラッサ、そしてベテランのMF遠藤保仁など、所属選手たちとの契約更新に成功。退団者は3選手のみで、J1を戦った昨季の戦力を維持した状況で新シーズンを迎える。

 そのチームを指揮するのは、日本代表のコーチで森保一監督の参謀役だった横内昭展新監督。「そんなに簡単な状況ではないと思いますが、目標に向かってチーム一丸クラブ一丸で目標に向かってまい進していきたい」とJ1舞台で得失点差-25の最下位だった“惨敗”からの立て直しを図る。守備組織を再構築させた上での得点力不足の解消が大きなテーマ。J1舞台で悔しさを味わった選手たちが、自信とプライドを取り戻して「再起」できるか。戦力的にはJ2の中では間違いなく上位であり、チームの団結力という点では“補強禁止”をプラスに作用させることも可能。横内監督の手腕の見せどころだ。

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異なるアプローチの4クラブ