メジャーから日本球界に復帰する選手は、野球人生のピークを越えて戻ってくるケースが多い。だが、この男は違うかもしれない。レッドソックスから3年ぶりにロッテに復帰した澤村拓一だ。
スポーツ紙記者は、「制球力と34歳という年齢でメジャー球団から高い評価は得られなかったが、まだまだ力は十分にある。現役時代にメジャーを経験し、野球理論に精通している吉井理人監督の存在もロッテに戻る決め手になった。150キロを超える球威十分の直球をストライクゾーンに投げ込めば、簡単には打たれない。高速スプリットも大きな武器になるでしょう」と活躍に太鼓判を押す。
ロッテからレッドソックスにFA移籍したのは20年オフ。1年目に55試合登板で5勝1敗10ホールド、防御率3.06をマークし、チームのポストシーズン進出に貢献した。昨年は49試合登板で1勝1敗3ホールド、防御率3.73。8月にメジャー選手登録の40人枠から外れた。
セットアッパーとして計算できるだけに、NPBの複数球団が獲得に興味を示していたが、澤村はFAで快く送り出してくれたロッテに対して仁義を感じていた。ロッテが球団公式YouTubeで配信した1月28日の入団会見で、「僕が2年目に居させてもらった時にロッテというチーム、組織は素晴らしいなと思っていましたし、ただ、その素晴らしい組織が勝てていないという状況を打破するためには、一人一人が同じ方向を向いているというか、同じ方向を向いているからといって同じものが見えているわけじゃなくて、選手一人一人のピントをしっかり合わせた状態で1年間戦っていけば、今の戦力でも十分優勝できると思うので、その先頭に立って引っ張っていけるような存在になりたい」と熱弁。動画のコメント欄では、「巨人に憧れ巨人に入れたことに涙を流し、メジャーが夢だった男がロッテに帰ることを選んだかっこよさ。澤村は漢だね」、「自分がチームを優勝させるっていう気迫が伝わるし、澤村ほどの投手がこんだけ本気でいてくれたら監督もチームメイトも嬉しいし頼もしいだろうな」など称賛の書き込みが多く寄せられた。