ジャック・アタリほか著『2035年の世界地図』※Amazonで本の詳細を見る
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 これは、私たちの国のGDP、または私たちの未来の60%以上に相当します。「命の経済」はパンデミック時、不足していると実感しました。それは、例えば保健、医薬品、教育衛生、良い食べ物、持続可能な農業、持続可能なエネルギー、民主主義、文化、デジタルなどですが、これらは日本のGDPの40%未満にすぎません。フランスも同様です。

 私たちがやるべきことは「命の経済」を増やして、「死の経済」を減らすこと。つまり、死の経済で行われていることの大部分を、命の経済に移行させるということです。

 でもそれは、脱成長やその類を意味するのではありません。別の種類の成長に移行するということです。保健や教育、文化や良い食べ物を増やし、車や人工的な甘味料などの体に悪い食べ物を減らすのです。

ジャック・アタリ
経済学者、思想家。
1943年アルジェリア生まれ。経済はもちろん、政治や文化芸術にも造詣が深く、あらゆる主題を網羅した文筆活動を行っている。ソ連の崩壊、金融危機、テロの脅威、ドナルド・トランプ米大統領の誕生などを的中させたことでも知られる。主な著書に『21世紀の歴史――未来の人類から見た世界』『危機とサバイバル――21世紀を生き抜くための<7つの原則>』(作品社)、『2030年ジャック・アタリの未来予測――不確実な世の中をサバイブせよ!』『海の歴史』(プレジデント社)など。