■広島「D」

 試合を重ねるごとにミヒャエル・スキッベ監督の戦術が浸透し、2022年はリーグ戦3位、ルヴァン杯優勝、天皇杯準優勝と「予想以上」の結果を残した。今オフは、その戦力をキープするための補強となった。

 昨季の主力から右ウイングバックの藤井智也とシャドーの浅野雄也、CBと右サイドをこなした野上結貴が退団。その代わりに左足からの高精度クロスが武器で指揮官からの評価も高い志知孝明(←福岡)、CB、ボランチに加えて右ウイングバックでもプレー可能な万能性を持ち、特別指定選手として昨季開幕戦に出場した中野就斗(←桐蔭横浜大)、広島ユース時代にU-17W杯出場経験のある大卒CB山崎大地(←順天堂大)、J3、J2でプレー経験豊富なGK田中雄大(←秋田)を獲得。さらに昨季J2で34試合に出場して8得点と印象的な活躍を見せたMF松本大弥(←金沢)をレンタル復帰させ、下部組織から越道草太(広島ユース)を昇格させた。

 元来、育成型のクラブであり、完成度が高まった昨季からの継続性という意味でも大型補強は必要ない。だが、例えそうだとしても補強に関して“物足りない”のも確か。これまで通りに若手が成長すればいいが、果たしてどうなるか。主力にアクシデントが起こった際など、選手層の薄さは気になる部分だ。

■福岡「B」

 厳しい戦いの中でも長谷部茂利監督の下でチーム一丸となってJ1残留に成功。今オフは退団者の穴埋めに励みながら、最終的には期待の持てる補強となった。

 攻撃陣ではジョルディ・クルークスが退団したが、その右サイドを埋めるべく、独特なリズムのドリブルが魅力の紺野和也(←FC東京)を獲得。昨季30試合に出場するもスタメンは13試合で2得点2アシスト。新天地でのブレイクを狙う。守備では志知孝明が退団した左サイドバックとして、昨季J2で35試合に出場した亀川諒史(←横浜FC)と東福岡高出身の24歳・小田逸稀(←鹿島)を獲得した。

 期待したいのが、FW佐藤凌我(←東京V)だ。走力が高く、前線からハードワークしながら常にゴールを狙い、昨季はJ2で13得点をマーク。高校時代は小田とチームメイトであり、インターハイ&選手権の2冠を達成した仲間でもある。地元帰還で、退団したフアンマ・デルガド、渡大生以上の働きを求めたい。

 その他、GK坂田大樹(←いわき)、FW鶴野怜樹(←福岡大)を獲得。そこで終わりかと思われたが、2月7日に元日本代表の井手口陽介(←セルティック)の獲得を発表。1年間のレンタル移籍にはなるが、攻守に高いインテンシティを持つMFの加入でチームのレベルはワンランク上がるはず。選手層の薄さは改善し切れていないが、楽しみは大いにある。

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鳥栖は今年も選手が“大幅入れ替え”