礼儀の五原則を体現される愛子さまだが、もう1点、着目したいのが、雅子さまと愛子さまの白い手袋と扇(おうぎ)の持ち方だ。左手のひらに白い手袋と扇をのせ、そこに右手を添えられているが、雅子さまと愛子さまの腕の曲がった角度、腕の位置など、ほぼ同じといっていい。
「もちろん、こうした手袋や扇の持ち方、立ち振る舞いに関しては指導を受けているとは思いますが、単に形だけできていればいいという見た目を重視するだけでは、ここまで見事にほぼ同じ所作にはならないでしょう。雅子さまはもちろん、初めて参列される愛子さまのお立場からの意識の高さの表れから成るものですね。大事な儀式の前にはリハーサルはあるそうですが、それとは別に、天皇皇后両陛下と愛子さまはご家族仲がいい印象がありますので、想像の域を出ませんが、雅子さまと愛子さまが鏡の前に立って、ウエストラインに持っていく腕の位置とか、白い手袋の持ち方などをご確認し合ったのではないかなと微笑ましい光景を思い浮かべました」(西出氏)
愛子さまが初めてとなる天皇誕生日一般参賀で、天皇陛下はこう述べられている。
「この冬も、多くの地域で大雪や厳しい寒さに見舞われました。被害に遭われた方々に、心からのお見舞いをお伝えいたします。寒さの中にも、日ごとに春に向かっているのを感じます。皆さん一人一人にとって、穏やかな春となるよう願っています。皆さんの健康と幸せを祈ります」
西出さんは天皇陛下のお言葉の中の「春」というキーワードに、愛子さまのドレスとのリンクを感じ取ったという。この日の愛子さまは、淡いピンク色のドレスで、袖口と首元に4層のオーガンディー(薄い生地)が施された格式高いお召し物だった。
「愛子さまのドレスは淡いピンク色でしたが、春をイメージさせてくれるものでした。天皇陛下のお言葉に『春に向かっている』『穏やかな春となるように』とあったところと、リンクされていて、事前に準備や打ち合わせをされていた以上に、天皇皇后両陛下と愛子さまのご家族のコミュニケーションの良さを感じました。大事な儀式には一般的にも準備が大事なものですが、目には見えないところの事前準備の大切さも見せてくださいました」(西出氏)
天皇陛下のお言葉と愛子さまの桜の花びらのような柔らかで優しげな印象のドレスはたしかに私たちを温かい気持ちにさせてくれる。(AERAdot.編集部・太田裕子)