晴天に恵まれた2月26日の東京ドーム。待ちわびたファン3万5000人が羽生結弦さん製作総指揮の物語に酔いしれた
晴天に恵まれた2月26日の東京ドーム。待ちわびたファン3万5000人が羽生結弦さん製作総指揮の物語に酔いしれた

 2月26日に東京ドームで単独アイスショー「GIFT」を成功させたプロスケーターの羽生結弦さん(28)。3万5000人を動員し、ライブ配信では国内外で3万人が視聴したというこのショーの興奮が冷めやらぬ中、27日、羽生さんと創作集団CLAMPが制作中のコラボレーション絵本『GIFT』の詳細とキーヴィジュアルが公開された。絵本の発売は2月13日に発表されていたが、一切の画像やその詳細はわかっていなかった。

【初公開! 絵本『GIFT』のキーヴィジュアルはこちら】

 絵本『GIFT』は、今回のアイスショーのために自らつづった物語を、羽生さん自身が「絵本という世界」で表現したいと模索。漫画『東京BABYLON』『xxxHOLiC』などで知られる女性4人の創作集団CLAMPにイラスト制作をオファーしたことで実現した。「文:羽生結弦 絵:CLAMP」として、講談社から9月1日に発売される。価格は税込みで3300円。

 雑誌に多く使われるAB判と呼ばれるサイズの上製本で、64ページ(予定)と絵本としてはかなりの厚さになりそうだ。ポストカード2種類という初回限定特典も用意されているという。

CLAMPが描いた絵本『GIFT』のためのキーヴィジュアル。2月27日に公開された
CLAMPが描いた絵本『GIFT』のためのキーヴィジュアル。2月27日に公開された

 公開されたキーヴィジュアル(上)には、羽生さんの「半生」と「これから」を羽生さん自身のナレーションと映像、スケートのプログラムで表現したアイスショーのエッセンスがちりばめられている。

「そこに幸せはありますか」
「誰かと繋がっていますか」
「心は壊れていませんか」
「このプログラムは、あなたの味方です」

 満員の東京ドームに羽生さんが語り掛けると、2004年から22年までの羽生さんの輝かしい戦績が写真と共に写し出された。「ぼく」の挑戦の物語の始まりだ。キーヴィジュアルに描かれた羽生さんと思われる人物の衣装には、アイスショーの冒頭で身に着けていたものに似た、不死鳥を思わせる赤い羽根が見える。

 天使のような、妖精のような存在は、「もっと」「もっと」と高みを目指す一方で時に不安を吐露し投げやりになる「ぼく」に寄り添い続けた分身だろうか。頭には、ナレーションに繰り返し登場した月のモチーフも見える。星空を背景に、時空を超える旅をしているかのようなイメージは、アイスショーが描いた物語の舞台そのものだ。

 アイスショー「GIFT」の「ぼく」は、不安やおそれ、孤独を乗り越えて、光り輝く世界に戻っていった。絵本『GIFT』はこの物語をどう描くのだろうか。

(生活・文化編集部)