打撃陣もスター選手と呼べるのはジョー・マウアー(ツインズ)、デービッド・ライト(メッツ)、ライアン・ブラウン(ブルワーズ)に、まだ成長途上だったジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)くらい。複数のポジションをこなすユーティリティープレーヤーのウィリー・ブルームクイスト(ダイヤモンドバックス)の代表入りが示すように、開幕を控えた選手になるべく負担をかけない意図が明白だった。そんな米国代表は第2次ラウンドでドミニカ共和国とプエルトリコに連敗してあえなく敗退した。
こうした冴えない結果続きにさすがにメジャーリーグ関係者にも危機感が生じたのか、2017年の第4回は過去2回に比べて豪華な顔ぶれの揃う米国代表となった。
投手陣はブルペン中心という意図こそ変わらないが、前年のプレーオフで大活躍したアンドリュー・ミラー(インディアンス)や、抑えでも中継ぎでも実績十分のデービッド・ロバートソン(ホワイトソックス)らなかなかの布陣に。
野手陣は名捕手バスター・ポージー(ジャイアンツ)を扇の要に置き、2年連続で本塁打王と打点王の二冠を制したノーラン・アレナド(ロッキーズ)や13年のナ・リーグMVPに輝いたアンドリュー・マカチェン(パイレーツ)、14年のア・リーグ本塁打王を獲得したスタントン(ヤンキース)らが中心。さらに後にナ・リーグMVPに輝くクリスチャン・イエリチ(マーリンズ)とポール・ゴールドシュミット(ダイヤモンドバックス)や、オリックス入りするアダム・ジョーンズ(オリオールズ)らがいた。
そして本大会では、日本と対戦した準決勝で7人の投手を繰り出す継投策にて4安打1失点に抑える一方で、打線が千賀滉大(ソフトバンク)からしぶとく決勝点を奪って競り勝ち。さらに決勝ではマーカス・ストローマン(ブルージェイズ)の好投でプエルトリコに快勝。悲願の初優勝を果たした。
この成功体験が、今回さらに豪華なメンバーを代表に集める原動力となったのは間違いないだろう。第1回のような油断や驕りもなく、第4回のような初優勝への重圧もない彼らが本来の実力を発揮すれば、準決勝で当たる可能性のある日本代表にとっても容易ならざる相手になることは間違いなさそうだ。(文・杉山貴宏)