スマッシュ・ケーキのよさは、第一に「せっかく苦労して作ったんだから食べなさいよ」と子どもに強要したり、ストレスを感じたりすることがなくなることです。どうせつぶされるんだからと期待値を下げていたら、ひと口食べてくれるだけで万歳三唱です。第二に、大人には別のケーキを用意するので、糖分・脂肪分を完全カット、あるいは極力控えめにできます。そもそも、1歳になりたての赤子にも大人にも向いているケーキを作るのってかなり厳しくないですか。私が上の子のときに試行錯誤して作ったケーキは、「赤ちゃんにはちょっと重ため(でも特別な日だからいっか!)、大人には味気ない」というどっちつかずの代物になってしまいましたから。

 今回下の子に作ったスマッシュ・ケーキは、市販のライスケーキ(原材料が玄米だけの、ポン菓子みたいなおせんべい。アメリカではヘルシーなおやつとして食べられています)と、ヨーグルトで作ったクリーム・フルーツを交互に重ねたお手軽なもの。味は全然ケーキじゃないし、たぶん大人の基準に照らし合わせたらそんなにおいしくはない。でも見た目はケーキっぽいし、楽しく遊び食べをしてくれればそれでいいや……との思いから10分くらいでちゃちゃっと用意し、結果は大成功でした。

「誕生日ケーキは食べるためではなくつぶすためにある」と心得て、赤ちゃん用と大人用で別々にケーキを用意するだけで、誕生日の楽しさは増しました。かつての私のように1歳のお祝いケーキどうしよう……と悩んでいるかた。アメリカ式のスマッシュ・ケーキ、結構おすすめです。

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◯大井美紗子
おおい・みさこ/アメリカ在住ライター。1986年長野県生まれ。海外書き人クラブ会員。大阪大学文学部卒業後、出版社で育児書の編集者を務める。渡米を機に独立し、日経DUALやサライ.jp、ジュニアエラなどでアメリカの生活文化に関する記事を執筆している。2016年に第1子を日本で、19年に第2子をアメリカで出産。ツイッター:@misakohi

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