小泉進次郎環境相の育休取得で改めて注目されるようになった、男性の育休。実は企業のトップたちはすでに実践しており、育休がもたらす仕事への好影響も実感しているという。AERA 2020年2月3日号では、育休取得が与える影響について取材した。
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小泉進次郎環境相(38)が第1子の誕生を受け、男性閣僚として初の育児休暇に入った。産後3カ月のうちに通算2週間の育休を取得する計画で、国会審議や閣議には出席、大臣としての決裁事務も続けるという。
この育休で、どれだけ育児が担えるかはわからないが、大臣という国の組織のトップが育休を取ることは、男性の育休取得が進まない日本に追い風となるだろう。一方で、「大臣の仕事はそんなに甘くない」といった批判も聞かれる。
だが、イマドキの経営者は、ごく自然に育休を取る人が増えている。
昨年末に上場を果たしたクラウド会計のfreee。そのCEO佐々木大輔さん(39)が育休を取得したのは、3年半ほど前、第1子となる長女が生まれて3カ月たった頃だった。妻が早期の職場復帰を果たすため、保育園入園までの期間を「パパの育休」でカバーすることにした。
「たった1週間でしたが、学びだらけでした。育休に入る前は、『子どもを寝かしつけたら本でも読めるかな』と思っていましたが、そんな余裕は全くなし(笑)。泣いてる理由がわからず、僕が泣きそうになることも。ワンオペ育児はまさに孤軍奮闘であり、予期せぬアクシデントの連発でしたね。ここまで大変なのかと身をもって体験できたことは、その後の組織づくりにも強く影響しました」
トップが育休を取ったことで、同社の男性社員の意識も変化した。CEOに続いてCTO(最高技術責任者)の男性が1カ月の育休を取得し、現在までの男性育休取得者数は26人に。「子どもを授かれば、男女問わず育休を取るのが当たり前」の空気が生まれ、社内SNSでは「オムツのテープタイプを買ってしまいました。うちはパンツ派なので、Lサイズいる方、差し上げます!」「いただきます!」といった投稿が、社員同士で交わされることが日常茶飯事になった。