調査を指揮した亜洲経済の韓ジュノ・デジタルメディアセンター長(43)は「メディアの影響だ」と語る。
「韓国メディアで、安倍首相を是々非々で論じる社はひとつもない。何をやっても批判する。2015年に韓日慰安婦合意を達成したときも、韓国メディアは安倍氏を評価しなかった」
「安倍氏を悪者にしないと、自分たちが批判される」という強迫観念があるという。
「どちらでもない」と答えた人が51人もいたことについては、「韓日関係が好転すれば、好きだと答えるようになる人々だ」と語る。韓国では、公の場で日本を支持することをためらう空気があり、こうした調査では「嫌いだ」とはっきり答える風潮があるという。
「日本に行ったことがある」と答えた人は78人にも上った。とりわけ30~39歳の37人の回答者のうち、実に35人が日本を訪れた経験があった。韓氏は「イメージするものも個性にあふれて非常に多彩だった」と語る。おたく文化、ジャニーズ、本音と建前、小泉純一郎、大江健三郎、規則を守る、靖国神社、親切で勤勉、誠実な国民性、織田信長、筆記道具──などが挙がった。
韓氏によれば、回答からは日本へのあこがれと同時に、日本をライバルだと捉え、「他の国には負けてもいいが、日本には負けてはいけない」という韓国人の意識もうかがえるという。
「スポーツでも、韓日戦は特別。日本に負けられないという意識が、日本への強い関心につながっている側面もあるのです」
一方、43人の回答者が、この6カ月間で日本に対するイメージが変わったと答えた。
日本が韓国に対する一部の素材部品の輸出規制強化を発表したのが今年7月。同時に韓国の日本製品不買運動が始まった。
日本を訪れる人も減った。日本の観光地の写真をインスタグラムに上げた男性に対し、「こんな時期に日本に行くなんて」などの書き込みが相次いだという。亜洲経済の社内でも、日本旅行をキャンセルした人が続いた。他人の目を気にした結果だという。
過去、何度か日韓の対立はあったが、今回ほど日本が強硬な態度を取ったことはなかった。一番重要な半導体素材に絞って輸出規制したことで、驚きが広がった。それが、今回の調査でも、世代を超えた日本への批判の声につながった。
「関係をよくするために必要なもの」に対しては、「日本と韓国の政府が態度を変えるべきだ」「相手を敵と認識する教育をやめる」「コミュニケーションも必要」などの意見が出た。