実力派がそろう日本男子フィギュア界注目の若手が、島田高志郎だ。スラリとしたスタイルに小顔。美しい滑りから目が離せない。AERA 2019年11月25日号に掲載された記事を紹介する。
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今季本格シニアデビューとなった日本男子の新星、島田高志郎(18)。昨季はジュニアGPファイナルで銅メダルを獲得した、次期エース候補だ。
高橋大輔(33)に憧れ、踊るのが大好きな少年だった。転機は3年ほど前。元世界王者のステファン・ランビエルが本格的にコーチ業をスタートさせると「一緒に成長しよう」と誘われ、高校生で単身スイスに渡った。
「最初は言葉も文化も壁になり、スイスの山奥で自炊にも困るくらいの生活でした。憧れのスケーターに教えてもらえる高揚感から、何でも『はい、はい』と言っていましたが、最近は意見の言い合いもできます。ステファンの母国語であるフランス語も習い始めました」
昨季はジュニアGPファイナルで初めて4回転トウループも成功。ただ、重圧も感じた。
「去年は、あまり点数は伸びていないのにいい順位を取って、運がよかっただけという気がしていました。今季はシニア移行が決まると、宇野昌磨選手(21)やネイサン・チェン選手(20)らと同じ試合のエントリーが決まり、自分の実力に見合わない試合だと思って、『絶対に結果を出せない』とネガティブな気持ちになってしまったんです」
弱気になった島田に、ランビエルコーチの言葉が刺さった。
「ステファンから『自分よりも結果を残したスケーターはたくさんいるけれど、コーチとして今の僕が一番幸せだと言える自信がある。君も自分の道を行け』と。それで自信を持って『自分のスケートをただ届ければいい』と、気づけました。それでスケート人生のテーマを『自分の花を咲かせる』に決めました」
夏には、ランビエルコーチが主宰するスイス合宿に、宇野、紀平梨花(17)、宮原知子(21)らが参加した。