「人生は選択の連続である」
たくらみ中学年(小学3・4年生)クラスが新たに取り組むプロジェクトの中心コンセプトです。
私たちは普段から選択を求められる場面に多く出くわします。はたしてその選択に唯一無二の正解が存在するでしょうか?
子どもたちがこれからの人生において「答えのない問い」に直面したときに、悔いのない選択をして自分らしい生き方を歩んでもらいたい。今回のプロジェクトにはそんな思いが込められています。
自分は普段どんな判断基準で選択しているのだろうか?
その判断基準で本当に良いのだろうか?
どうすれば自分は悔いのない選択ができるだろうか?
小さな哲学者たちとともに、議論を通じて、身近な「答えのない問い」について考えていきたいと思います。
初回の授業では、まず議論の基本ルールを全員で確認し、早速ケーススタディーに入ることにしました。
記念すべき第1回のお題は『お金を拾ったら、警察に届ける?届けない?』です。
下校中に道端で百円玉を拾ったが、周囲に人はおらず、近くに交番も見当たらない中で、あなたならそのお金を警察に届けるかどうか、という内容でたくらみキッズに問いかけます。
お題の内容を聞いた途端、彼らの目が輝きだし、その場の雰囲気が変わるのを感じました。みんな自分の意見を言いたくて言いたくて仕方がない様子です。
「議論の時間は後でとるから、まずはワークシートに議論前の自分の意見を書いてな」
どちらの立場を取るか、そしてその理由はなぜなのか。子どもたちは真剣な表情でワークシートに向き合います。
ワークシートを一通り書き終えたところで、各自の意見を発表してもらうことにしました。
「近くに交番がないんやろ。だったら届けへん。わざわざ持っていくの面倒くさいし」
「僕も届けないに丸した。お金があったら、自分が困った時に使えるもん」
「えっ、みんな届けないの?私は届けるかな。(拾ったお金を)使っても嫌な気持ちになるから……」
この議論では必ずどちらかの立場を取らなければいけないという制約事項を設けました。
どちらの立場でもない新たな立場の意見は認めないということです。
これにより、たとえ立場が同じだったとしても、その理由が異なるというケースが発生することになります。
皆の意見が出そろったらそれで終わり……そんなわけがありません。追加条件を次々に出すことで、さらに子どもたちを悩ませます。