羽生結弦 (c)朝日新聞社
羽生結弦 (c)朝日新聞社
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 今年もフィギュアスケートシーズンが開幕した。冬季五輪で2連覇を達成した羽生結弦選手が今期もジャンプに磨きをかけ、4回転半ジャンプ(クワッドアクセル)を含む全種類4回転ジャンプの成功を目指す。AERA 2019年9月30日号に掲載された記事を紹介する。

【溢れる色気が止まらない! アエラの表紙を飾った羽生選手】

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 平昌五輪で2連覇を達成した羽生結弦(24)の2019─20年シーズンが幕を開けた。夢のクワッドアクセル(4回転半)ジャンプ成功へ──。絶対王者は、その歩みを止めない。

 今季初戦となったオータム・クラシック。9月12日(日本時間13日)にカナダのトロント近郊にあるオークビルで開幕した。大会第1日にあった男子の公式練習。羽生は世界選手権以来となる実戦の舞台に姿を現し、驚くべき発言が次々と飛び出した。

 まず、4回転半のために5回転ジャンプを練習しているという。体をつり上げる補助器具を使って、「4回転半をやるために、もっと回転数を上げたい」という狙いがあるそうだ。羽生のジャンプ担当のジスラン・ブリアン・コーチはこう語る。

「ユヅはある日、リンクにやってきて言った。『次のセッションで5回転トーループをやる』と。冗談だろ?って思ったよ。コーチ人生の中で5回転トーループをやるやつを見るとは想像もしなかったよ」

 それだけではない。全種類の4回転ジャンプを跳ぶことも視野に入れている羽生に4回転フリップは練習しているのか、と報道陣から質問が飛んだ。羽生はサラッと言った。

「3回くらい降りている。フリップ─アクセルとかも降りている」

 試合での挑戦については、

「やりたいなとは思っているけど、僕のフリップに加点がつくかというと、そこまで無理して入れる必要はないかな」

 と明言は避けたが、成功率は確実に上がっていることを示唆した。

 そして、今季のプログラムは昨季と同じ曲を採用することも明かした。ショートは「秋によせて」、フリーは「Origin」。子どもの頃から羽生が憧れてきた元全米王者のジョニー・ウィアー(米国)、エフゲニー・プルシェンコ(ロシア)への思いが詰まったプログラムだ。昨季は右足首のけががあり不完全燃焼だった羽生は、この演目への思いを語った。

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