「まだ完璧と言えるものがなく心残り。負けたままで終わらせたくなかった。完成させたうえで悔いなくこのプログラムを終えたい。気持ちのこもったプログラムをしっかりしたい」
そして、迎えた今季初戦のショート。新調した青色の衣装に身を包み、大歓声のなかリンクへ。冒頭の4回転サルコー。「考えすぎた」と転倒。公式練習ではあまり失敗していなかったサルコーでミスが出た。
しかし、こんなことで演技は崩れない。続くトリプルアクセル(3回転半)は回転技(ツイズル)で入り、着氷後再びツイズルにつなげる。難しいトリプルアクセルだが、
「初めて納得いく入りで跳べた。この入りが一番この曲にあっている。一番やりたかったものに戻してできた。自分の中では100%に近い」
出来栄え点(GOE)も3.68点を引き出した。最後の4回転─3回転の連続トーループもGOEは3.99点の高評価。スピン、ステップは最高のレベル4を獲得。それでも、羽生は唇をかんだ。
「いつもの初戦とは違って、自分の中で完成形が見えている状態で挑んでいる。やっぱり、ノーミスできないとすごく悔しいなという気持ちが強くあります」
ショート1位で迎えたフリー。冒頭の4回転ループ、続く4回転サルコーでは着氷でバランスを崩したが、なんとか耐えた。
「あのループとあのサルコーは本当によく立ってくれたなと思った。(演技後、右足に)ありがとうと思った」
その後の4回転トーループ2本は回転不足の判定を受けた。フリー180.67点、合計279.05点で優勝を飾ったが、悔しさを隠さなかった。
「いいジャンプが跳べてナンボだと思うので、この構成ではやっぱりクリーンに滑りたかったなと思っています。ノーミスしたい気持ちがすごく強い」
それほど、今季のショート、フリーの精度を追い求めている。
大会終了後、羽生は日本メディアを中心に取材に応じた。2年半後にある2022年北京五輪について、羽生は、大勢の記者を前に初めて言及した。