![原俊夫(はら・としお)/1935年東京都生まれ。77年アルカンシエール美術財団を設立、理事長に就任、現在に至る。2017年仏レジオン・ドヌール勲章オフィシエほか受章多数(撮影/写真部・片山菜緒子)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/e/d/503mw/img_ed25aed4a0b9ece655df008cf246183844987.jpg)
東京・北品川にある原美術館が建物の老朽化などを理由に2020年末をもって閉館するという。作品を入れる際に必ず作家に会って直接話をしたという原美術館の創設者・原俊夫氏名は次のように話す。AERA 2019年9月23日号に掲載された記事を紹介する。
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ルイジアナ美術館を作ったイエンセンに会った時、「どの作品を購入するのか、どんな企画を立てるのか、すべて自分で決めるように」と、アドバイスをもらいました。私は美術の専門家ではありませんが、私という一人の人間にイニシアチブがあるからこそ、思い切った決断がくだせます。そうした点に、公立とは違う私立美術館の役割があると思っています。
作品を入れるときには、必ず作家に会って、話をします。どんな感性の持ち主で、なぜ作品が生まれたのかという部分に触れないとコレクションする意味がありませんから。
私が美術館を作ろうと思ったのは1970年代のことでした。大学を卒業してから、プリンストン大学に留学したのですが、日本について紹介しようとすると、能や茶道など伝統文化はあるけれど、それだけでは日本の「今」は見えてこない。
その一方、海外でさまざまな美術館を訪れたり、現代美術の作家やコレクターと会う機会を持つようになると、アートが持つ社会的な役割や影響力が非常に大きいと気づきました。
様々な職業の現代美術のコレクターがいて、彼らの感性のせめぎあいから、アートの価値が創造されているのに、日本には人的ネットワークも土壌もない。このままでは世界から取り残されてしまうから、誰もやらないなら自分でやろうと思いました。
私のようなやりかたは邪道だと言われたこともあります。けれど究極的には、その作品が自分の感性に響くかどうかが大切だと思っています。
(聞き手/ライター・矢内裕子)
※週刊朝日 2019年9月23日号
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