「地震や停電で電車が走行できなくなった時、最近の例では停車から扉を開けて客を線路へと誘導するまで約30分かかっている。津波の場合はそんなに悠長にしていたら、車内に缶詰めになった乗客はパニックになりかねません」
昨年6月18日の朝7時58分に発生した大阪北部地震。JR西日本の列車153本で約14万人が車内に閉じ込められたが、降車が始まったのは停車から約30分後の8時27分、救出が完了したのは地震発生から約6時間が経過した午後1時49分だった。
しかも乗客は高齢者や妊婦、車いすの乗客やヒールの高い靴を履いた女性などさまざま。昼と夜との違い、外国人への案内などの問題もあるとして、こう提言する。
「鉄道会社だけの問題ではない。国や自治体など行政も連携して、満員に近い乗客を乗せた時の大地震による津波を想定した避難訓練を行う必要がある」
(編集部・野村昌二)
※AERA 2019年9月9日号より抜粋