「そのとき危ないのは、荒川、庄内川、淀川といった大河川の下流域の東京、名古屋、大阪だ」
大都市のどこを、どのような水害が襲うのか。大きな被害が想定される東京23区、横浜、名古屋、大阪について調べた。洪水と津波による浸水想定エリアを国土地理院が14年5月からインターネット上で公開するハザードマップポータルサイトの「重ねるハザードマップ」で確認した。地図の青い部分が洪水、赤い斜線部分が津波によって想定される浸水エリア、黄色い三角はアンダーパス(地下をくぐる道路)だ。
さらに、鉄道と災害の問題に詳しく、『関東大震災と鉄道』(新潮社)などの著書があるフリーライターの内田宗治さんが調べた浸水リスクがある駅を丸印で示した。東京は津波より大雨による洪水リスクが高いため、洪水が流れ込む危険性がある68の地下駅を示した。地上駅については5メートル以上浸水する12の駅を四角で表し、計80の駅を載せている。
横浜、名古屋、大阪は洪水よりも予報なしに突然やってくる津波による浸水リスクが大きいので、津波の被害を受ける地上駅を示し、地上を覆う水の深さ(浸水深)により、段階別に色分けした。
今回示したのは4都市だが、「重ねるハザードマップ」を使うと、全国各地の浸水想定エリアがわかる。今回の九州北部豪雨で孤立した順天堂病院(佐賀県大町町)の浸水深を調べると、0.5~3メートルを示す色に覆われていた。(編集部・野村昌二)
※AERA 2019年9月9日号より抜粋