「たまこまーけっと」ゆかりの出町桝形商店街のアーケード(京都市上京区) (c)朝日新聞社
「たまこまーけっと」ゆかりの出町桝形商店街のアーケード(京都市上京区) (c)朝日新聞社

 京都アニメーションで35人が命を落とした放火事件。世界中のファンに悲しみが広がるなか、地元京都の作品ゆかりの商店街は愛のこもった手書きメッセージを綴っていた。

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 京アニには地元京都を舞台にした作品も多い。写真などを基に背景美術のスタッフが一枚一枚丁寧に描いた四季折々の京都は、実景そっくりでありつつ温かみや心地よさが上乗せされ、多くのスタッフの生活の場でもある京都への愛が感じられる。

「けいおん!」には学校周辺の風景として、鴨川と高野川の合流地点にある三角形の「鴨川デルタ」(京都市左京区)など、市内各所が印象的に登場する。鴨川デルタは映画「たまこラブストーリー」でも、主人公が幼なじみの男の子に告白される重要な場面に使われた。

 屋の娘を主人公とする同作とその前日譚にあたるテレビアニメ「たまこまーけっと」は、ほんわかして活気もある「うさぎ山商店街」が舞台だ。そのモデルが出町桝形(ますがた)商店街(上京区)。「聖地」として親しまれる商店街のアーケードには今、「今日も元気だ」と大書されたつり看板の下に、商店街から贈る手書きの応援メッセージが添えられている。地元から京アニへの愛。それを代表して語るような、胸を打つ文章だ。

「地域で人と人とがふれあうことの魅力を、数々の作品を通して表現されて来た京都アニメーションの皆さまのお仕事は、他の何ものにも代えられない素晴らしいものです」

「私たちは皆さまが描いてきたとおりの人情と絆とで、変わらずここにいます。この地より、被害にあわれた皆さまのご回復と皆さまの創作活動がまた花開くことを、心よりお祈り申し上げます」

13年から続く「Free!」と、15年から続く「響け!ユーフォニアム」。二つのテレビシリーズは続編や映画版が作られ続け、今の京アニを代表する作品だ。作画から彩色、撮影まで、惜しみない手間と愛情で磨き上げた映像美は「京アニクオリティー」と称され、信頼のブランドとして国内外のファンから熱く支持されている。

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