21日の公式練習。ジャンプを入念に練習していた。
21日の公式練習。ジャンプを入念に練習していた。

 そのくらい、弱気発言とこの練習での演技のすばらしさにギャップがあった。

 日を改めて。22日の公式練習では宇野にアクシデントがあった。4回転サルコウの着氷時に転倒。練習を途中で切り上げた。スポーツ紙などですぐさま、報じられ、心配の声が上がっていた。

 そして、23日のショートプログラム。宇野は20時過ぎの6分間練習にリンクに現れた。同じグループには、今季限りの現役引退を表明している、日本にもファンの多いキーガン・メッシング(カナダ)らがいる。宇野にかけられる「ショーマ、ショーマ」の歓声と拍手。それに応えるかのように、ジャンプをどれもキレイに成功させると、その都度拍手に包まれた。

 ついに本番。会場に宇野昌磨の名前がコールされる前の一瞬の沈黙に緊張感が走る。コール後には拍手の嵐だ。SHOMAバナーや国旗が会場に揺れた。

「昌磨、頑張れ」「ショーマ!」「SHOMA!!」

 演技が始まる直前まで、声が飛び交った。

 演技は、最初の4回転フリップはGOE(出来栄え点)が2.99点つく好ジャンプ。続く連続ジャンプは事前の申請通り「4回転トゥループ+2回転トゥループ」。これにも3.99点ものGOEがついた。演技後半のトリプルアクセルでも2.51点のGOEを稼ぎ、結果は104.63点で、2位のイリア・マリニン(米国)に4.25点差の首位に立った。演技後には右手のこぶしを軽く握り、納得の表情を見せた。 

 試合後の記者の質問では、演技をふりかえって宇野は「状態が悪いのもあって、感情を試合にぶつけるようなちょっといつもよりさぁ頑張るぞという気持で臨んだので、その分嬉しさがこみあげてきたのかもしれません」と答えていた。

 足の痛みがある中で圧巻の演技がなぜできたのか。宇野は、「もちろん僕の経験もありますけど、長年付き添ってくれる方がたのサポートあって(の今回の演技)」と周囲への感謝を口にしていた。

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