会場でファンらが掲げるバナーのこと、ファンから届く手紙のこと。その都度「私は本当に幸せ者だな」と思うという。

「色々なところからお手紙やプレゼントを受け取り読ませていただいています。本当に本当に感謝の思いでいっぱいです」

写真:長田洋平/アフロスポーツ
写真:長田洋平/アフロスポーツ

 あるインタビューでは、「イタリア(での大会)の時も来てくださっていた」とファンが掲げたバナーについても触れていた。

 いつも健気で一生懸命。中野園子コーチからは「集中力の天才」と称される。

 そして浅田真央さんに憧れる23歳でもある。

「いろんな選手の滑りを見て研究するのが好きです」

 自分自身の課題を探り、欠点にも向き合い努力する。その姿勢は尊敬する浅田さんに通じるものがあるかもしれない。

  シニアデビューは17歳。デビュー戦(2016年10月のGPスケートアメリカ)では3位に輝き、「シンデレラガール」として話題になった。そのシーズン(2016-17)は、全日本選手権で3位。初の世界選手権の切符を手にした。世界選手権ではショートでミスをして15位スタートとなったが、フリーで圧巻の演技で総合5位入賞。

 順調なスタートだったと思われたが、実は関節が痛む難病「若年性突発性関節炎」を発症し、2015年12月に入院。一時は歩くこともできなかった。復帰してからも紆余曲折があった。2019-20のシーズンは体調不良で全試合を欠場。翌2020-21シーズン、北京五輪の最終選考会でもある全日本選手権で4位。表彰台にあと一歩及ばず、代表に選ばれなかった。

 実力がありながら、チャンスに恵まれない。普通の人ならば、苦しい胸の内が思わず表に出てしまいそうなところだ。しかし三原はかつてテレビのインタビューに次のように答えていた。

「山あり谷ありっていうか、谷の方が多かったかなと思うんですけど、沢山の方がたのサポートのおかげでこうして今はスケートができていると思うので、その感謝を一回でもというか、一瞬でも多く伝えられるように。一瞬、一瞬を大切にして滑れたらいいなと思います」

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トンネルを抜けて世界選手権に戻ってきた